【企業訪問記】自社ならではの強みが生んだ社風

(株)三恵社 常務取締役 木全 俊輔氏(市川浦安支部)

 荒川と旧中川に挟まれ、大通りから一本入ると下町の情緒が色濃く残る、JR総武線「平井駅」より歩いてすぐの(株)三恵社を尋ねました。同社には「企業変革支援プログラム」や「経営指針作成と実践の手引き」といった多くの同友会書籍を発行していただいています。

 名古屋に本社があり、元々は小規模飲食店にロゴのデザインやメニュー表の印刷などを行う会社でした。しかしパソコンやプリンタの普及とともに仕事は減少傾向に。その時、勉強会で顔を合わせていた大学教授から大学の授業形態が大教室形式から小規模クラス形式に切り替わり、レジュメの印刷や配布が煩雑だという話を聞きます。もともと小ロットの印刷は得意で、教科書となればある程度販売数が見込めるため、教授から費用をいただかなくても自費出版が出来るということで教科書出版事業を始めたそうです。以後、編集・デザインから印刷、そして流通までできることが大きな強みとなりました。

 人材の採用と定着について伺うと、以前は新卒を採用していたが職人気質な先輩社員が多く、指導がうまくできず定着しなかったとのこと。現在は中途採用に切り替え、出版社に勤めていた第2新卒を採用し、定着もしているそう。なぜ出版社を退職した人がまた出版社に入るのかと伺うと「出版社の多くが印刷は外注で、コストを抑えるためにまとまった数を刷るため、1つのミスが大きな失敗につながります。しかし同社は構成・編集・印刷まで自社で行えることや1部から刷れることがあり、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジしやすい、これが若い人から評価されています」と話されました。

 そんな同社の社風が現れている取組みが最近始めた絵本事業です。施設や子ども向け商品のPRを絵本でやったらどうか、という社員からの提案で、試しに献本して営業をしてみたとところ大きな反響が。また絵本出版業界は古くから付き合いのある絵本作家を大事にし、新人はなかなか参入しにくいという傾向があり、それもあいまって多方面から引き合いが増えているそうです。

 取材の最後に、2年後に父である現社長から承継を見据えている同氏に、今後のことを伺うと「チャレンジを楽しむ社風はこれからも大事にしていきたいです。また来たるAI時代でも仕事を失わないよう、作家の想いに共感し行間を読むことができる人材の育成に力を注ぎたいです」と話されました。

(事務局 田中)

◆会社概要…所在地:東京都江戸川区平井5-14-2-401 資本金:1,000万円 従業員数20名(うちパート・アルバイト3名)事業内容:出版、各種デザイン企画、各種印刷