【企業訪問記】連帯の力で地域の魅力を高める

(有)滝見苑 代表取締役 富澤 真実氏(市原支部)

 房総半島の中央に位置し、千葉県の観光スポットとしても広く知られ、夏は緑生い茂り、秋は辺り一面紅葉に覆われ四季折々の表情を見せる養老渓谷。そんな自然豊かな渓谷を目前に旅館を構える滝見苑の富澤社長を訪ねました。

 滝見苑は1977年に先代である父が創業し、40歳のときに代表を引き継いだ富澤氏。独立願望があったため27歳のときに、松戸にある祖父の土地を相続し、スタッフ6人程の串焼き屋を始めました。当初はお客が入りませんでしたが、試行錯誤する中、店を焼き肉屋に変え、所有していたテニスコートをフットサルコートに変え、経営を軌道に乗せます。

 その後実家に呼び戻され、滝見苑の将来を見据え、松戸での経験を生かし、家業から組織経営にしていくために社員の社会保険加入、福利厚生や就業規則の整備などを行いました。

 また、日帰り温泉施設と併設のバーベキュー場を開設。そして、地元の廃業した旅館を滝見苑とは趣を変えた旅館にして引き継ぎ、この3本柱で進めています。特に日帰り温泉施設で始めた新しいキャンプスタイルとして流行のグランピング、野菜ソムリエによる野菜シロップがけのカキ氷で観光客を集めています。

 しかし、養老渓谷周辺の旅館は団体客の減少や後継ぎがいないため、滝見苑の創業当時から比べると14件から9件にまで減少しています。そこで養老渓谷温泉旅館組合の組合長に就任した富澤氏は、大多喜城や市原の地層チバニアンなどの周辺観光地と連携したり組合のロゴマークと商品づくりを行ったりと、連帯の力で活性化を図っています。

 また、地元の企業や金融機関、大手人材広告企業と連携して9月にDMC※の設立を予定しています。

 「DMCでは大多喜城下町、県民の森、養老渓谷の観光総合戦略を作成し、観光施設の整備を行い、若い方が移住したくなるような地域にしていきたい」と想いを語ります。

 富澤氏の他社や地域を巻き込んだ取り組みから、同友会がめざす「国民や地域と共に歩む企業づくり」の実践を見ることができました。

(事務局 牧本)

※ Destination Management Companyのこと。

◆会社概要…所在地:夷隅郡大多喜町粟又5 資本金:500万円 従業員数:75名(うちパート・アルバイト30名) 事業内容:飲食店、スポーツ施設、宿泊施設、日帰り温泉施設

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