【企業訪問記】地元の方に「また行きたい」と思ってもらえる料理を作り続ける

(有)菊水 取締役 渡辺 貴之氏(船橋東支部)

 2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された和食。今回は、松戸市で創業80年の歴史を持つ割烹の老舗「三角屋」の三代目である渡辺氏を訪問しました。三角屋は同氏の祖母が開業、以前は定食屋でしたが、少しずつメニューを変えていき40年ほど前から割烹店としてスタートしました。渡辺氏は、子どもの頃からお店のお手伝いをしていたことがきっかけで料理の道を歩むようになったそうです。

 今、世界からも注目されている和食が他の国の料理とどのような点で違うのかをお聞きすると、季節によって食材や彩りが変わること、香りを楽しんでから料理を味わうことが日本料理の魅力であるとお話しされました。最近は食べ放題を提供するお店が増えてきており、料理の一つひとつを味わいながら食事をするという気持ちが薄れているような印象を受けていると言います。世界には一日一食の生活を強いられている国がある一方で、食べ放題で余った食材を当たり前のように破棄する現状を今一度考え直す必要があるのではないかと語っていました。

 ここ数年、食べ放題の普及や大手企業による低価格競争の影響で自店の単価が下がってきているそうです。このような中で単価を上げるために天狗商売をするのではなく、地域の方々それぞれの予算やニーズに合った経営をしていきたいと話していました。そこには、自分のお店は地元の方々のおかげで成り立っているのだという感謝の思いがあります。また、日本料理をより多くの方に気軽に楽しんでほしいという思いから、懐石弁当の提供や女性向けのメニューを新たに作るなど様々な工夫をしています。

 お店のブランド力をどのように付けていくかという長年の悩みに対する答えは未だに見つかっていませんが、来てくださった地元の方々の胃袋を掴める料理を作っていきたいと語っていました。目まぐるしく変わる飲食業界で自店のこだわりを追求していこうとする渡辺氏の強い意志が伝わってきました。また、「食」について改めて考えるきっかけを得られた取材となりました。

(事務局 松本)

◆会社概要…所在地:松戸市六実5-25-7 従業員数:7名(うちパート・アルバイト1名) 事業内容:寿司、割烹、旅館