【企業訪問記】下請け企業の生存戦略〜設備よりも人を育てる〜

(株)髙原製作所 代表取締役 髙原 正明氏(茂原支部)

 今回は、いすみ市で精密機械部品の切削加工を営む髙原社長を訪問してきました。同氏は18歳の時から大手工作機械メーカーで修行を積み、20歳でお父様の経営する(株)髙原製作所に戻り、26歳で代表を承継することになります。とても早い承継で不安もありましたが、お父様も元気だったため業務に支障は少なく、社長が若いことで取引先からも将来性に期待してもらえ、既存は勿論のこと、新規開拓もスムーズに進んだとのことです。

 同社の強みとしては、広い範囲の加工に対応できることがあげられていました。精密機械部品は種類がたくさんあり、それに対応する設備を都度揃えるのは多額の費用が掛かります。しかし、種類はあっても金属加工の工程の大まかな作業内容は同じであり、技術者次第で対応できる範囲は大きく広がります。そこに目をつけた髙原氏は、専門特化の設備よりも汎用設備を多くし、技術者の育成を重視しました。また危機とともに好機でもあったのがリーマンショックです。業界全体が不況になり仕事が無くなりましたが、その余った時間を技術向上の時間に使うことができました。さらに、少ない仕事を取るために依頼された仕事はどんなものでも受注し、その経験が広範囲の加工に対応できる技術力につながったのです。

 部品加工は基本的に下請け業務になるため、メーカーの影響を大きく受けます。そのため、自社がどんなに良いものを作っても安定性をコントロールすることはできません。そうした業界特性からも取引先の分散は必要であり、売上で2割を超える取引先は無いとのことです。

 今後の展望については、会社規模を大きくすることを考えられていました。業界として体力の少ない小さい会社から倒産している傾向があり、このままでは10年後には自社がその圏内に入るとのこと。そのため、息子の若い世代も巻き込みながら技術と会社を育てていきたいと語られました。業界特性を読んだ生存戦略に多くの学びを得ることのできた訪問でした。

(事務局 道山)

◆会社概要…所在地:いすみ市松丸309 資本金:2,000万円 従業員数:12名(うちパート・アルバイト3名) 事業内容:精密機械部品の切削加工及び付随する業務全般