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我がまち探訪記 【その14】

 安房地域全体の振興をリード
        金丸謙一 館山市長に聞く

我がまち探訪記シリーズの第14回目は
館山市の金丸市長を訪ねました。

訪問先 館山市長 金丸謙一氏
出席者 武藤弘広報部会長(司会)
池部資彦 広報部員、飯田晴夫 安房支部長、鈴木勲 安房支部幹事長、高田陽香事務局員


まちづくり―4つの指針
司会 館山市は海あり、山あり、歴史・文化的な遺跡ありで、外からみると大変魅力的で、観光資源に恵まれた地域と映ります。館山市で取り組まれているまちづくりの方向とはどんなものでしょうか。
市長 市のまちづくりの基本は、観光産業の振興であり、それは4本の柱から成り立っています。
 第1が「花のまち」。海流の関係で、真冬でも比較的温暖な気候という特性を生かした花卉農業が地場産業の一つであり、「館山ファミリーパーク」では四季を通じて花が咲き乱れています。また、洲崎から隣の白浜町まで続く「房総フラワーライン」は、美しい景観が評価され、日本の道100選に選ばれました。
 第2は「海のまち」。館山の海岸は34.3kmあり、東京湾と太平洋に面しており、砂浜あり、岩場ありですべての海洋レジャーに対応できる海岸というのが最大の特徴です。さらに、日本一の桟橋が今後はインバウンドのクルーズ向けに整備、東京五輪以後のレガシーとしても活用を考えていきます。
 第3は「食のまち」。新鮮な魚介類を提供する鮨、魚料理店が市内に立ち並び、観光などで街を訪れる人たちを歓迎するほか、レタス、落花生、なめろうなどの農漁業産品もブランド品としての地位を確立しています。この地域の第1次産業の付加価値を上げ、6次産業化をめざします。
 そして第4が「文化のまち」です。大福寺(崖観音)、館山城、安房神社をはじめ、市内には歴史・文化の香り高い名所旧跡がたくさんあり、神社ひとつとっても「一之宮」が2ヶ所あるのは館山のみといわれているなど、他にない特色に富んでいます。
 このような魅力、多様な楽しみ方ができるので、館山市だけで考えるのでなく、館山が安房地方への海の玄関口となり(陸の玄関口は鋸南町)、南房総地域一体となった観光開発を進めてまいります。人口減少、少子高齢化といった地域に共通する課題に取り組む中での、この地域の「地方創生」の大きな方向性として、インバウンド需要を受け入れ、地域が連携して交流人口を活性化していくことが大きな目標です。

「元気な広場」が子育てを強力支援
司会 人口減少や高齢化という、各地域共通の課題については、どのようにお考えですか。
市長 人口減少も高齢化も暗いイメージでとらえるのでなく、何事もプラス志向で考えたいですね。明治時代などは今より人口が少なかったが、国全体に活力がみなぎっていたし、長い人生経験を積まれたお年寄りが増えるというのは社会にとってありがたいことです。困るのは「少子化」であって、当市でも出生数が300を切る事態となっています。持続可能な地域という視点から、行政としてまずは女性が働きやすい環境づくりに力を入れているところです。
 特に、昨年8月オープンした「元気な広場」があります。これは妊婦さん、乳幼児とその保護者であれば自由に利用することができる屋根付公園で、約300uの床暖房付のオープンフロアーやトイレトレーニングができる子供用のトイレ,調乳・授乳スペースもあり,ランチタイムには,多目的室で遊びに来たお子さんと保護者で食事をすることができます。
 また、会員相互による子育て支援を進めるため「ファミリー・サポート・センター」も併設しています。
 ファミリー・サポート・センターは、子どもを預けたい会員(おねがい会員)と預かりたい会員(まかせて会員)の橋渡しや、援助活動をする会員向けの講習会、会員相互の交流を深めるための交流会を開催するなどの活動を行っています。 また、出張子育て広場といって、元気な広場のスタッフが市内のこども園(船形、九重)にやってきて、子育てについての相談や、ママ同士の交流を応援する仕組みもあります。
 「元気な広場」は、屋根と床暖房のある公園なので、こどもを預けたりしない限り利用料は無料であり、近隣市町の住民にも開放しています。
司会 なるほど。「元気な広場」は、子育て中の人たちのパワフルな味方ということですね。
市長 毎日たくさんの市民、お子さんたちが利用しています。ファミリー・サポート・センターを媒介にした、子どもを預けたい会員(おねがい会員)と預かりたい会員(まかせて会員)との交流、市民同士での助け合いも定着していっています。
司会 少子化については、最近の傾向として晩婚化あるいは男女ともにまったく結婚を考えない人たちが増えているといわれています。こちらの方では、何かお考えですか。
市長 たしかに最近、身の回りでも独身の男性、女性が増えている感じがするし、結婚しても子供は一人で十分という人たちも多いようです。
 由々しき問題というべきで、市でも若い人たちに出会いの機会を提供するなど考えています。「安房婚」というのを11月にも開催することが決まっており、これはいわゆる街コンですが、自然な形で楽しく出会いの場をつくろうというものです。
 また、「恋人の聖地」として、市内の特に風光明媚なスポット3ヶ所を指定しています。鏡ヶ浦、洲崎灯台、城山の3ヶ所で、ここで感動的な景観を楽しみながら、気がつくと二人の肩が自然に触れあう。実は、椅子に微妙な角度がついていて、そこに座ると互いの身体が傾くようになっています(笑)。
 ただ、基本的にはご本人たちの価値観なり、人生設計の話であり、行政がそこまでは踏み込めません。大変難しい問題ではありますが。

移住者にとっても、住民にとっても住みよい街
市長 地域の行政としてできる限りの少子化対策=子育て支援・環境整備をしている話をしましたが、さらに、館山市は住みたい田舎ランキングで上位に位置し(県内ではトップ)、移住してくる人たちが増えており、最近流入人口が流出人口を上回るようになっています。
池部 千葉県内でも、隣接した大都市に、特に若い子育て期の女性などが流出してしまうといった悩みを抱えているところもありますが、その点、移住者が増えているという話は興味深いですね。
市長 安房群市では、平成28年に館山市のみ他市区町村からの転入者数が転出者数を上回りました。当市も小子高齢化で全体の人口は減少傾向が続いていますが、移住者が増加しつつある一方で、いったん移住してきた人たちが地域に溶け込んで、そのまま定住するケースが多く、再び転出していくということが少ないことが言えます。
 移住者は、世代的に2つの山を形成しています。一つは30〜40歳代で、これまで都会で多忙な仕事に従事してきて、これを見直して、生き方を変えようとか、あるいはIT関係など、通信ネットワークの整備で田舎に住んでも仕事ができるなどの理由で移住してきた人たち。
 もう一つは60歳代で、定年退職後の住処をここに定めようという人たちです。この世代は長男長女が多く、親の面倒を見なければならない、墓がここにあるなどの事情から、生まれ育った故郷にUターンしてくる人たちです。
 いずれにしても、移住者が地域にうまく溶け込んで、中には地域の人たち以上に活躍する人などもいるようで、移住はしてきたけれど、幻滅してまた帰って行くという人は少ないことも、流入人口の順調な増加を支えているようです。
市長 大事なことは、移住者にとっても、古くからここに住んでいる住民にとっても、実感として住みやすい街とは何かということです。 平成28年度から平成37年度までの10年間のまちづくりの指針である「第4次館山市総合計画」の中でも「幸福度」(GTH=Gross Tateyama Happiness)という指標というか考え方を盛り込んでいます。必ずしも数字に表せない、ここに住んでいる人たちの実感、市民がどう思っているかということでポイントを上げていくことが、住みよい街、地域を作っていくのではないでしょうか。

中小企業の元気が地域の元気
池部 私ども中小企業家同友会では、県内の各地域でのまちづくりの話を聞きながら、各地域の中小企業がまちづくりに参画していくお手伝いをしたいと考えています。
市長 私も、もともと中小企業を経営した経験があり、そこから行政の仕事を見ることが多いのですが、中小企業の人たちが不断にもっている危機感というものは、行政にはないと感じています。危機感がない代わりに、中長期的な視点に立って、広い視野から問題に取り組むことができるのが行政の特徴であり、長所でもあります。
 しかし、危機感がないためか、自分たちの恵まれた条件を生かし切れていない、もったいないことも多い。館山には、磨けば光るものがたくさんあるのに、それに気づいていないということが多いのではないか。
 そうしたものにもっと貪欲に気づき、地域の発展のために動員する視点が必要だと思いますが、その際に地域の中小企業の力が頼りになります。
 「中小企業が元気になることが地域を元気にする」「地方創生は中小企業の創生から」といった基本的な考え方から、今までも地域の企業の皆様の力には大いに助けられてきましたし、今後も地域の中小企業の皆様とともに、まちづくりを進めてまいりたいと考えています。
司会 本日は、お忙しい中貴重なお話を聞くことができ、ありがとうございました。

(広報部会長 武藤)

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