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  「千葉同友会の足跡を探る」 【その5】

- 杉山 武氏 トーク税理士法人 代表社員 -

   千葉同友会・常任理事
    [経営委員長・政策委員長等]を経て、
    1993年〜1994年副代表理事、1995年〜1999年代表理事、
    2000年〜2006年常任理事・理事[中期ビジョン委員長]、
    2009年より相談役

(聞き手  川西事務局長)  

―杉山さんは千葉同友会創立の翌年、1976年(昭和51年)に千葉同友会に入会されました。入会の経緯やその頃の思い出をお話してください。
 私は市川で勤務税理士として働いていましたが、1976年(昭和51年)4月、独立と同時に地元の電気工事をやられていた方の紹介で同友会に入会しました。

中小企業問題への真摯な取り組みに感銘
 入会して間もなく、千葉同友会設立1周年記念セミナーというのが鴨川でありまして、そこで中小企業家同友会全国協議会庄野議長(当時)と志伊良千葉同友会初代代表理事のお話が非常に心に響いたという記憶が今でも鮮明に残っています。

―それはどういう点ですか?
 中小企業問題に対して真摯に取り組んでいこうというその姿勢に感銘を受けたのです。私自身、日本経済の中で中小企業は量的にも多数を占め、しかも質的にも大きな役割を担っているのにもかかわらず、それが必ずしも正当に評価されていないことに対して、大きな疑問を持っていたからです。

―なるほど。そういう問題意識から同友会に関わり始められたわけですね。その後、設立から早3年目の1977年(昭和52年)に第7回青年経営者全国交流会を千葉で開催することになります。
  志伊良代表理事が、当時はまだ青年経営者の組織はなかったのにもかかわらず、千葉での設営を引き受けてしまったからです(笑)。まだ慣れないものですから準備は大変でした。確か通しで50回以上の実行委員会等の会合を開いたと記憶しています。当時はみんな若かった。一緒に活動した相澤(友夫)さん(鰍「しとも会長、千葉同友会相談役)、北原(俊彦)さん(竃k原防災社長、千葉同友会相談役)も私も当時30代ですからね。夜を徹しての会議も珍しくなかった。連日遅くて午前様にもなったのに嬉しそうに帰ってくる様子を見て、ある実行委員会のメンバーの奥さんから、「夫は浮気でもしているのでないのか?」と怒鳴り込まれたこともありましたね(笑)。
 それでも全国交流会は当時としては200名という大人数を集めて大成功。これがきっかけで青年経営者懇話会が結成され、当時の千葉同友会を牽引したと言えます。

―草創期にもかかわらず、当時政党懇談会(1978年実施)や「県内産業振興研究」シリーズ(1979年実施)と銘打った、建設業・運輸業・機械金属業等の県内の有力企業経営者をお呼びしての勉強会、あるいは「中小企業経営理論政策講座」(1980年実施)といった骨太の企画をやっていますね。
  そうですね。望月さん(現名誉会員・元政策委員長・代表理事)が中心になって企画されたもので、非常にスケールの大きい志が高い企画で私もお手伝いさせてもらいました。

―杉山さんは1978年より2代目の経営労働委員長に就任され、4年間活躍されましたが、いかがでしたか?
 私は税理士ですのでそれなりに中小企業の現場を知っているつもりでしたが、経営労働委員長という立場になって、経営者としての視点に立って改めて中小企業経営の現状を見直すことが出来たのではないかと思います。

―それは具体的には?
 中小企業というのは、景気が悪ければ当然厳しいし、景気が良くても人手不足に悩まされるように、いずれにしても常に厳しい環境におかれています。バブル崩壊後ですら、中小企業は6〜7割が黒字企業だったのが、今では2割程度というのが現状ですよ。そういう中で、どう企業としての活路を創り出すのか、そのためにも経営指針づくりが不可欠であると痛感するようになりましたね。

―なるほど。その後、杉山さんは望月さんの後を受けて、1985年より6年にわたり、政策委員長を務められました。その中で印象深いことは?

理不尽なことには声をあげる
 最近の若い会員の方にはピンと来ないかもしれませんが、1986年に「売上税」という名前の大型間接税導入の動きが急となり、同友会も含めて多くの中小企業団体が反対の声を挙げ、署名活動・集会への参加などを行い、大きな運動のうねりを作り出し、それを阻止することができたのです。その後、紆余曲折もあって現在のような消費税の導入になったわけですが、やはりおかしいことに対しては具体的に声を挙げていく、行動すれば我々の意思も通すことができるという確信をもつことができました。
 最近外形標準課税等の導入の動きが急ですが、それへの賛否は別にして、少なくとも中小企業と国民の合意を抜きに拙速な対応についてはやはり声を挙げていくべきだと考えます。

―1997年頃には、金融機関の中小企業に対する貸し渋り・貸しはがし問題もありました。
 そうです。その理不尽さに対する世論の喚起と大企業と中小企業を同じ基準で不良債権の判断をする金融庁の金融検査マニュアルの見直しの提起、またいわゆる金融アセスメント法制定運動(金融機関の地域への貢献度、地域の中小企業への貢献度を公表する法律をつくる運動)も、結果として金融アセスメント法制定には至ってはいないものの、金融機関、金融庁の中小企業に対する融資姿勢に大きな前向きの変化をもたらしました。これも運動することの大切さを現していると思いますね。

―話は変わりますが、1992年9月より教育学者の大田堯東京大学名誉教授を囲む教育懇談会が始まります。杉山さんも当時、常任理事として出席されていましたが。

「違いを大事にする」社風を
 そうですね。大田先生との出会いは自分自身の経営観、人間観をつくる上でとても大きかったと思いますね。一番印象に残っているのは、人間は「一人ひとりが違う」んだということ。違いを認め合うことが組織や社会を活性化することにつながるんだということです。我々経営者は、ついつい一つの色に社員を染めたがる。自分と同じ考えになることを強制したくなりがちです。
 そうではなくて、一人ひとりの違った個性を集めるのが企業ではないか。大田先生のお話で、宮大工さんが、違った個性の木を組み合わせることで頑丈で数百年単位で生き残る神社・仏閣を作ることが可能になる話がありましたが、企業も同じではないでしょうか。
 ですから、わが社でも気質的に困難を抱える社員であっても、その人に合った仕事を与えることでその人を生かせ、組織としても活性化する、そんな考えで経営を行っています。

―杉山さんは、千葉同友会の中期ビジョンの第4次(1995年発表)、第5次(2000年発表)、第6次中期ビジョン(2005年発表)の起草委員長を務められるなど、一貫して千葉同友会のビジョンづくりにも関わってこられました。振り返っていかがですか。
 詳しくのべる余裕はありませんが、第4次中期ビジョンから第6次中期ビジョンにかけて強調されたことは、1993年の中同協総会で採択された「21世紀型中小企業」への挑戦を大きなテーマとして掲げ、第4次中期ビジョンで打ち出した「人間が人間らしく生きられる地域と企業をめざして」を千葉同友会の時代を超えた普遍的なテーマとして打ち出したことではないかと思います。
 特に第5次中期ビジョン(2005年発表)では、「地域の中の経営」という視点を打ち出し、その後、地域振興と中小企業の活性化が同友会で追求する大事なテーマとして浮上したと思います。

―それが、2007年の千葉県中小企業振興条例の制定にもつながっていきますね。杉山さんは、2006年3月からスタートした「千葉県中小企業振興に向けた研究会」(千葉県商工労働部経済政策課所管)の副会長として、現在に至るまで振興条例づくりとそれを受けた中小企業元気戦略づくりに深く関わってこられました。どんな感想をお持ちですか。
 千葉県中小企業振興条例の制定、またそれを具体化するための中小企業元気戦略の策定に関わらせていただき、大変勉強になりました。

行政とも連携しての中小企業振興
 一番良かったなと思うのは、以前は行政の見方として、地域に小さな企業がいくらあったとしても地域の振興にはつながらない、外から有力な企業を誘致するか、地域内で有力な企業を育てることが地域振興の要(かなめ)だという意識だったと思います。それが、手前味噌になるかもしれませんが、我々中小企業経営者・同友会のメンバーと腹を割って話し合う中で、少しずつ変わっていったのではないかと思います。
 同友会のように、企業経営の発展・改革のための自己努力をしっかり行いながら、地域全体のことを考えて提言し、行政とも手を携えて地域振興に力を注ごうという団体は少ないのではないかと思います。そこが新鮮なインパクトを与えたのではないかと自負しています。
 その結果、地域の中に小さくとも元気な企業がたくさん存在すること、またそんな企業をたくさん抱えることのできる条件、環境を整えることが地域の活性化の基本ではないか、そのことが行政との関係で、少なくとも県商工労働部との関係で合意できるようになったのではないかと考えます。
 我々中小企業は、一社一社は決して強くないかもしれません。しかし、それが連携し、信頼関係を築き上げ、かつ行政をはじめとした地域の諸団体・住民とも同じ関係を築くことが出来るならば、おそらく地域は、また千葉県も日本も変わると思います。第4次中期ビジョン以降掲げている「人間が人間らしき生きられる 地域と企業をつくる」とのスローガンは決して綺麗ごとではなく、今後に生かせるものであると改めて確信しております。

―格調の高いお話で締めくくっていただき、長時間ありがとうございました。  

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