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  「千葉同友会の足跡を探る」 【その3】

- 望月 貢一氏 元望月鉄工且ミ長・元鰍l・1会長 -

   千葉同友会名誉会員、設立発起人
    西部支部長、常任理事・政策委員長等を経て、
    1984年副代表理事、1985年〜1988年代表理事、
    1989年〜2007年相談役、2008年より名誉会員。

(聞き手  川西事務局長)  

 

―1975年の千葉同友会の創立の経緯や思い出をお聞かせください。

 私は同友会の存在は早くから存じておりましたが、実際に同友会に関わるようになったのは、1968年に勤めていた東京の貿易団体から離れ、千葉に来て弟の鉄工会社の経営を補佐するようになってからです。貿易団体の会員と足立重嘉さん(東京同友会元事務局長・中同協初代事務局長を経て、千葉同友会顧問・故人)の紹介で東京同友会に入会していました。当時東京同友会は労使問題に力を入れており、私は時折顔を出す程度のお付き合いでした。そこに出入りしていた志伊良正幸さん(千葉同友会創立メンバー、千葉同友会初代代表理事・現相談役・新興自動車梶jから「千葉で同友会をつくるので協力してくれないか」という手紙をもらったのが千葉同友会と関わるきっかけでした。
 千葉同友会創立の年、1975年(昭和50年)に群馬で開かれた中小企業問題全国研究集会に参加した際、上野駅で斉藤豊さん(千葉同友会創立メンバー、千葉同友会初代代表理事・会長等を歴任。関東ヂーゼル椛n業者・故人)と名刺交換。その時斎藤さんは見ず知らずの私に開口一番、「私はもともと他人に丁稚小僧として拾われた人間なんです」と人懐っこい笑顔で言われたのが今も深く印象に残っています。
 私が同友会運動にのめり込んだのは、何よりもまず志伊良さんや斎藤さん、また足立さんらのリーダーの人間性、生き様、人柄に惹かれたことに加えて、私もやがて弟から会社経営を任され、経営者の自覚が問われることになるのですが、これが私の参加意欲に拍車をかけました。

―草創期には若い経営者の活躍がありましたね。

 そうでした。「中同協・第5回青年経営者全国交流会・千葉」の受け入れに挑戦して、青年経営者懇話会(略称・青懇)が発足したのは創立3年目の1977年。当時10人位での出発でした。今も現役の北原俊彦さん(竃k原防災社長、千葉同友会相談役)、相澤友夫さん(鰍「しとも会長、千葉同友会相談役)杉山武さん(トーク税理士法人代表社員、千葉同友会相談役)も当時「青懇」で活躍した中心メンバーで30代の若さでした。
 当時、青懇メンバーが中心となって全国に先駆けて経営指針づくり運動を呼びかけた遠山昌夫さん(当時、菊水化学工業且ミ長・愛知同友会代表理事)をお招きして経営指針の勉強会を行ったり、バスで愛知にまで出かけて勉強したりしましたね。当然、ゴルフ大会なども盛んでした。
 同友会は、保守王国千葉において既存の団体ではなかなか力を発揮しきれない青年経営者のエネルギーを吸収できる場になったと思います。

―40数名で出発した千葉同友会が創立1年目に118名、2年目で200名、4年目で270名と比較的順調に会勢が伸びてきました。その要因は何だったのでしょうか。

 千葉同友会は滑り出しが幸運だったと言えます。中小企業家同友会全国協議会(略称・中同協)が発足したのが1969年(昭和44年)で、先導役があり、またすでに各地に見本があったのです。同友会のビジョンづくりの点でも、京都、東京、愛知、大阪といった先輩同友会がすでに手掛けており大変参考になりました。
 中小企業の少なくない創業者というのは、活力に満ち、一旗あげたいという野心家!でもあります。それが同友会と関わることによって、「みんなに喜ばれることが自分の生きがい」というふうに変わっていったのです。すごいことですね。
 千葉同友会草創期の劇的な発展の源を改めて考えてみますと、次の5点ほどが挙げられるのではないかと思います。
 1つは、斎藤豊さんをはじめとした方々の人柄の力、リーダーとしての情熱など、いわば初っぱなから「人間同友会」とも言うべき「同友会の人格化」ができたこと。
 2つ目は、志伊良さん、足立さんに代表されるような幹部を生かす人間的な度量を持ったリーダーがいたこと。
 3つ目は、先ほど述べたような青年経営者のエネルギーの存分な発揮。
 4つ目が、草創期に同友会が「特定の勢力の影響」がある団体との中傷をはねのけ、同友会の名誉を守り抜いたことです。 
 ある経済団体の副会長で県内でも高名な方が、「自分たちがやりたいと思ってもなかなかできないことをやってくれる会だ」と評価してくれました。この方は、労務対策よりも経営者としての勉強が大事だと、同友会と力を合わせられるのではと考えておられ、斎藤豊さんとも非常に親しい方でした。
 また中小企業学会の重鎮である伊藤岱吉慶応大学教授らのご支援などもあり、中小企業の抱える問題について学んできたことなど、千葉なりの諸条件があって、先の中傷をエネルギーに逆転させることができたのだと思います。
 最後に5つ目として強調したいのは、先ほども触れたように、全国の同友会からの大きな協力、支援です。中同協の正副議長・正副会長などの要職を務められた庄野慎一郎さん、石井正雄さん、田山謙堂さん、赤石義博さん、福岡の鳥越俊雄さん、北海道の大久保尚孝さん、京都の橋本嘉雄さん、香川の三宅昭二さん等々、枚挙にいとまがありませんが、全国から講師をお招きし、学んできたことが大きかったと思います。

―間もなく千葉同友会は創立40周年を迎えます。1988年には1000名となり、バブル期の1991年頃には1450名を超え、バブル崩壊後、緩やかに会勢が後退し1000名を割った時期もありますが、その後現在1100名近くまで盛り返してきています。この辺の要因をどう考えていらっしゃいますか。

 現時点で同友会の皆さんにご検討いただきたいことは、激変する環境の下にあっても1000名同友会を維持できている原動力はどこにあるのか、それと同時に1000名台にとどまっているのは何故かということです。その点を解明することが大変大事になっていると思います。
 私も正解は持ち合わせませんが、少なくとも次のようなことは言えると思います。
「人間同友会」を土台に仕組み・制度が確立
 1000名にまで発展できたのは、先ほど言いましたように、人間臭さ、汗臭さといった「人間同友会」という風土が土台としてあったこと。その上に立って、経営指針づくり、共同求人、共育研修、同友会大学の開校、県への毎年の政策要望の提出、学校との関係づくり、中小企業振興条例制定を契機とした県行政との関係づくり等々が進んできたことが大きかったと思います。いわば同友会として存在するための仕組み・制度自体は皆様の努力によって確立してきたと思います。
 また今日循環型経済を創造する課題や千葉同友会のビジョンを見ると、つくづく情勢がようやく同友会の指標に迫ってきたという感慨を強く感じます。
仕組み・制度への依存の危険
 しかし、反面、こういう枠組みが一旦できると、結果として自力ではなく、他力依存、つまり仕組みや制度自体が一人歩きしてしまい、仕組みや制度を作ったことのそもそもの意義や狙いが見失われてしまう危険もないわけではありません。40周年を総括するに際しては、
今中同協で声高に強調されている「半世紀にわたって営々として全国的に積み上げられてきた同友会理念の深化をどう受けとめるのか」が大事になると思います。

―なるほど、いったん形ができてしまうと、そのことのできた意味、つまり運動推進力の成長が見えなくなってしまうことは起こりがちですね。

 「仏」(ほとけ)を作ったら「魂」(たましい)も入れたいですね。同友会は中小企業を強化する事業体であると同時に何よりも運動体ですから。私はかつて、「知り合い、学び合い、援け合い」という同友会の性格を「自立、連帯、参加」という言葉によって検証可能な概念化を図ろうとしたことがあります。同友会運動の核心は経営者の自己成長の推進だと私は思います。
「自主」「自立」の重要さ
 「自主」「自立」というのはとても大事です。我々は、知らず知らずのうちに世の中の大勢やマスコミの論調、有力者と言われる人たちの言動に左右されがちです。そんな中から、本物を見抜く力を自ら身につけないと自立しているとは言えないのではないでしょうか。
 国民の圧倒的多数が中小企業で働いているにもかかわらず、世の中、なんとなく大企業の方が優れている、イメージが良いという風潮もその最たるものでしょう。そういうイメージを変えていくのも同友会運動のテーマですし、中小企業全体が自立していくことにもつながるのではないでしょうか。
 こういう「自主」「自立」の考え方を確立するには、個人の学びだけでは知れています。やはり同じ立場の中小企業家の仲間による学び合い、切磋琢磨があることが欠かせませんし、それを可能にするには、互いに対等に本音で関わりあえる、「民主」的な風土・連帯の「絆」(きずな)があることが必要です。また、「社会参加」、つまり同友会や個々の企業を通じて行政や様々な諸団体と交流することなどによって少しずつ進んでいくのではないでしょうか。
 こういう質的な点でどこまで進んだのか、何が課題なのかという検証というのは難しいのです。それを検証可能なものに変えていく必要があると思います。
 同友会で言う「人間性、科学性、社会性」という切り口で会社や経営者自身を絶えず検証する、このことも同じように難しいと言えます。

―運動の質的な検証、なかなか難しいテーマですね。

 生きる目的を自覚するプロセス、他人をまねることから出発して、自分の体験を経て反省して、経営者としての経営観、人間観を確立していくといったことを検証していく、そういう場づくりの理論が求められるのではないでしょうか。
 物事が進んでいくには、理論、理念とか目的といった人間的・精神的な枠組みとか価値、また運動(エネルギーの発揮としての)と制度の3つが必要であり、このことを検証していく運動化が求められると思います。
 これからの時代は、人間が中心に座らなければならないと思います。千葉同友会もそうですが、同友会の運動史を見ると、経営指針づくり、共同求人、金融共済、更に進んで地域振興条例づくり、そしてかの「中小企業憲章制定」運動と、絶えず時代を先取りしてきた輝かしいものがあります。いわば「人間力経営」をめざした歩みだったと言えるのではないでしょうか。それを実現するには、理論や理念が絶えずしっかり先行する必要があります。そうするとどうしても現実とのギャップが生まれてきます。それをどう埋めるのか、その仕組みを作る必要があります。
求められるリーダーとしての資質・能力
 このような同友会運動の理念の「深化」を進めていく上では力強いリーダーシップが求められます。今、中同協の「中小企業家しんぶん」はここに大変力を入れていますが、ご参考に経営学者の野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)がおっしゃっている「リーダーの資質・能力」について触れたいと思います。(読売新聞2012年10月8日付インタビュー記事より)
 野中教授は、今求められる「リーダーの資質・能力」には、次の6つがあると言っています。
 @「善い」目的をつくる能力、A目的を共有する場を適時つくる能力、B現実を直視する能力、C直視・直感したものを概念化する能力、D概念を実現する政治力、E前記@〜Dの能力を他者にも広げて『集合知』をつくりだす能力です。
 「要するに、理想をしっかり持ち、それを現実の場でメンバーと共有する一方、現実を直視し、言語化した上で実践すること。さらにその営みを組織のみんなの実践知にまで高めること」だと言うのです。
 同友会の中心を担う幹部の皆さんには、是非この点を追求していただき、新しい求心力を作り上げて、同友会の大きな飛躍を作っていただきたいと期待しております。

―本日は、長時間にわたって貴重なお話をいただきどうもありがとうございました。

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