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12月16日、千葉県へ提出した2016年度の政策要望全文
    2016(平28)年12月吉日
千葉県知事 鈴木 栄治 殿  
 

2016(平成28)年度「千葉県に対する政策要望」
第4次元気戦略策定にあたり、
今こそ、『中小企業立県』を宣言し、
千葉県経済、地域雇用の健全な発展・成長を作り出していきましょう。
千葉県中小企業家同友会
 会   長  林  康博
 代表理事  山本 克己
 代表理事  宮澤 正則
 政策委員長 細矢  孝
 中小企業は、千葉県内の企業数のうち99.8%、従業者総数の78.3%(2016年版中小企業白書)を占め、中小企業が様々な分野において千葉県の産業を支えるとともに、地域の雇用を担っています。
 昨今の従業員の不足、求人難の中にあって、特に小規模企業では、経営者自身が現場で働かざるを得ない現状があります。多くの経営者は、そうした状況から脱却して、戦略的かつ長期的に自社を展望できる経営者を目指していますが、業務に追われ戦略的意思決定に時間が割けないでいるのが実情です。また、同業者間の価格競争にさらされ、適正な利益をあげられる環境にない企業が少なくありません。
 これからの千葉県経済の発展、県民の暮らしを豊かにしていくには、中小企業の健全な発展、成長が必要不可欠です。そのためにも地域を支える中小企業を支援することが大切と考えます。第4次元気戦略策定にあたり、中小企業が千葉県経済を支えている実情を踏まえ、今こそ『中小企業立県』を宣言し、地域の要となる中小企業を生み育てる環境づくりを進めていきましょう。

●企業づくり
1、人材確保・育成をめぐる課題に支援を
(1)即効性のある人材確保支援と長期をみすえた中小企業のイメージアップを
 今年会員に行ったアンケート(総回答数179)では、今後充実を望む施策の第1位が「人材の確保の支援」(回答数85)、第2位が「人材の育成の支援」(回答数77)となりました。中小企業における人材不足は大変深刻で、早急な対策が必要になっています。
 当会では、上記の問題に対して短期的な対応を進めるとともに、長期的な運動も必要であると考えています。共同求人活動においても、学生の働くことに対するイメージが乏しく、多種多様な仕事で成り立っている地域社会の現状を知らないまま、就職活動に突入している事例が見受けられ、こうした実態が「大手志向」にもつながっていると考えます。
 当会はよい経営環境づくりの一環として、将来中小企業を担う人材が誇りをもって働けるような土壌づくりをしていきたいと考えています。そのためには、小・中・高の教育現場と地元中小企業が関わり合いを持ちながら、情報を発信していく必要があります。ぜひお力をお貸しください。

@先行的な人材投資への助成金や資金援助を
 人材不足が叫ばれる中で、人材投資は先行投資が必要であり、かつ、緊急を要することも多いので、実際に助成金が支給されるまでのタイムラグが短縮されれば幸いです。
 また、ハローワークを通した採用でないと助成金が支給されないケースがありますが、ハローワークの求人は採用につながりにくく、結果として高額な民間の求人会社を利用しているという声が聞かれます。民間を利用した場合でも助成金を受給できる仕組みを検討してください。

A労働環境整備について、本音で相談できる窓口づくり
 世間に「ブラック企業」という言葉が定着し、ハローワークでは法令違反のあった事業所の新卒求人を不受理にする措置がとられたり(平成28年3月1日より)、業界ごとにチェックを厳しくする動きがみられます。
 当会でもそうした動きを重く受け止めておりますが、一方で世間の風潮が「事業者側が本音で相談しづらい」状況をつくり、悪循環になっているケースも考えられます。小規模の事業所や創業間もない企業では、整備中という事例も少なくないと考えます。そうした実態の企業に対しても、今後取るべき対策の勉強会の開催や、本音で相談ができる窓口等の措置を講じてください。

B教育現場で中小企業を知ってもらうための冊子の発行と活用、教育プログラムの実施を
 引き続き、教員向け広報誌における中小企業紹介コーナーの継続、企業紹介をとりまとめての冊子発行、教育現場(授業や就職指導等)での副読本として活用の検討を望みます。
 職場体験学習やインターンシップなどキャリア教育の実施、企画段階から産学官が連携した教育プログラム、教材の開発、実施の検討をお願いします。
 また、教育委員会への中小企業経営者の積極的な登用や中小企業経営者と現場の教員との忌憚のない意見交換の場づくりを検討してください。
【参考事例:愛媛県松山市では、多忙な教員が中小企業紹介に十分目を通す余裕がないとの指摘があり、「松山市中小企業振興円卓会議」と小学校教諭が連携して小学校高学年向けにキャリア教育を目的とした教材「未来デザインゲーム」を開発。多人数(大企業を想定)、少人数(中小企業を想定)のチームに分かれ新聞紙でタワーを作るといった過程を通じて、それぞれの長所・短所を実感してもらう工夫をしています。*参考資料:未来デザインゲーム】

C中小企業における障害者雇用の状況をつかみ、優れた雇用事例の発信を
 中小企業における障害者雇用の場合、障害を持っていたとしてもさまざまな創意工夫のなかで、まわりからあてにされることで人間的にも大きく成長し、頼られる存在になっている優れた実例が数多くあります。法定雇用率適用外にある社員数49名以下の中小企業における障害者雇用の状況を把握し、発信してください。雇用の実例を発信することで、中小企業の果たしている重要な役割を広げ、誰もが地域で安心して暮らし、働くことのできる地域づくりにつながると考えます。
【参考事例:2013年に沖縄労働局が沖縄同友会の要請で、中小企業の雇用実態を明らかにしたところ、当時雇用義務のない55人以下の中小企業が、50.6%障害者を雇用していることが明らかになりました。】

(2)多様な人材が長く安心して働くための支援を
@様々な業種に対応した公的な教育研修メニューの充実を
 人材育成に関する施策のうち、製造業向けのものは多彩なメニューが用意されているのに対し、その他業種に関しては極めて限られたものになっています。製造業だけでなく、様々な業種で必要とされる技能・技術に関する研修などメニューの充実をお願いします。

A社内託児所への支援など女性が働きやすい環境づくりを
 中小企業においても多くの女性が活躍の場を広げていますが、出産後の職場復帰の難しさなど課題を抱えている現状があります。企業が単独または共同で運営する保育所等への支援や男性の育休取得支援など「子育て」に対する支援策が必要と考えます。今年度よりスタートした「千葉県事業所内保育所整備緊急促進事業」等の企業主導型保育事業への助成制度の相談窓口の設置、先進事例の紹介など、普及、広報をお願いします。

Bメンタルヘルスケアに対する手厚いサポートを
 メンタルヘルスケアへの緊急的なサポートが必要となっている社会において、中小企業においては、従業員がメンタルヘルスの不調に陥った場合、治療・回復に多大な費用・時間的コストがかかります。相談窓口の拡充など手厚い施策対応をお願いします。

C福利厚生の充実に向けた支援を
 大企業と比較して中小企業は福利厚生面での魅力が弱く、人材確保・定着が難しい要因となっています。県としても従業員の福利厚生の充実に向けた支援制度を検討してください。

2、より実情に即した中小企業・小規模企業支援を
(1)中小企業、小規模企業に配慮した施策対応を
 中小企業、とりわけ小規模企業への恒常的な支援施策や有益情報に関する説明会の開催など、施策利用企業の拡充に努めてください。開催にあたっては、多くの経営者自身が日中は業務に携わらざるを得ない小規模企業の実情を配慮した対応をお願いします。
 また、中小企業の場合、限られた人員の中で日常業務と並行して情報収集、申請書類作成を行わなければなりません。こうした状況は企業規模による施策利用格差を生む原因の一つになっています。公募期間をできる限り長くする、あるいは申請書類作成についての丁寧な支援体制をとるなど、中小企業、小規模企業への配慮を要望します。

(2)新たな仕事づくりに対する支援
@小規模企業でも参加しやすい展示会やビジネス交流企画への支援
 展示会やビジネス交流会の主催あるいは後援の検討をお願いします。各経営者団体間での共催など、参加しやすい形を進める上でのコーディネート、広報活動をお願いします。

A中小企業の仕事づくりに関する事例集の普及
 中小企業における身近な新規事業創出の経験、公的支援施策の活用事例など、多くの中小企業にとってヒントとなる事例集を作成し普及を望みます。

B構想・ビジネスモデル段階での支援
 すでに利益を生んでいる商品・サービスでなくても、実現可能性のある計画については、支援を検討する仕組みをつくり、支援団体・金融機関等へのサポートをお願いします。ちなみに、先払いの研究開発助成金をつくり、産学連携をサポートしている県内地方銀行もあります。

(3)法改正や新制度に対応するための情報提供とコスト面・人員面での援助
@マイナンバー制度実施にともなう体制整備に関する中小企業向け窓口の設置
 マイナンバー制度の実施にともなう体制整備、設備投資を必要とする中小企業に対する相談窓口の開設、専門家の無料派遣など、細やかなサポートのお願いします。

A消費税増税にともなう実務負担等に支援
 10%への消費税増税について、千葉同友会会員の調査では、賛成10.6%、やむを得ない39.1%、反対42.5%と意見が分かれるところです。同時に導入されようとしている「軽減税率制度」の導入については、賛成19.0%、やむを得ない18.4%、反対43.1%となっています。「導入された場合の費用負担」、「事務手続きが煩雑化する可能性」といった導入時の実務負担を懸念する声があがっています。負担の程度を試算いただき、きめ細かな支援をお願いします。

B労働安全衛生法セミナー等の共催による啓蒙
 企業に対して「ストレスチェック」の実施などが義務付けられています。職場のメンタルヘルスなどの問題改善にもつながることなので、県としても取り上げ、セミナーの開催などの検討をお願いします。

3、自立した中小企業を育てる金融支援を
(1)当面の資金繰り支援のさらなる充実
 現状のセーフティネット資金融資は、引き続き継続をお願いできれば幸いです。ひっ迫した状況下では審査期間を短縮するような仕組みを検討ください。また信用保証枠を全て使ってしまっている事案に対して、マル経融資などのメニューがとても有効ですので、広報にもご協力をお願いいたします。

(2)「経営者保証に関するガイドライン」の普及
 千葉同友会で2016年に行った調査では、借り入れの際に経営者の個人保証契約を「締結している」と答えた人は69.8%となり、前年よりマイナス10.6%となりました(締結していない22.8%、わからない7.4%)。金融庁の経営者保証に関するガイドランの普及がある程度進み、金融機関が経営者保証を外す姿勢を見せている表れと思われます。千葉県としても、企業と金融機関との勉強会・懇談会に参加していただき、経営者保証のない融資を実現した県内企業の事例を集めて発信するなど、引き続き行政として取り組めることを検討の上、普及に向けた連携をお願いします。

4、よろず支援拠点について
 よろず支援拠点は、気軽に相談できる窓口として利用者からは好評です。利用実績の普及など中小企業に向けた情報提供を通じて、さらなる使いやすさの追求をお願いします。また、当会の専門相談室を含め各経済団体の経営相談窓口との連携を強めるよう働きかけを期待します。
【参考事例:埼玉同友会では、よろず支援拠点と提携協定を締結*添付資料:中小企業家しんぶん】

●地域づくり
1.千葉県中小企業振興条例の実効性の保証
(1)県知事をトップとする産業振興会議(仮称)の設置をお願いします。
 中小企業が繁栄する上では、千葉県がどういう産業ビジョンを持つのかが重要と考えます。現在の「明日のちばを創る!産業振興ビジョン」の中に中小企業の位置づけと産業振興との関連を追加してください。
 また、県知事をトップとする千葉県産業振興会議(仮称)といった恒常的に千葉県の中小企業振興策を協議し総合的に実行する機関を設置してください。併せて、千葉県中小企業振興条例に、条例の実効性を担保する制度的保障として、実効性確保のための千葉県産業振興会議(仮称)の挿入を検討してください。
 毎年行われている『千葉のちから中小企業表彰』は、表彰企業の経営者・従業員にとって長年の取り組みが評価されたことによる誇りと今後の活力を生んでいます。表彰制度の継続をお願いするとともに、授賞式の際に各社の取り組みを交流する場を設けていただければ幸いです。

(2)千葉県「中小企業振興に向けた研究会」の充実を
 いくつかの課題を研究するプロジェクトチームを「中小企業振興に向けた研究会」のもとに置くなど、よりきめ細かな行政対応、政策づくりを要望します。
【例:エネルギーシフト(徹底した省エネや再生可能エネルギーによる地域内自給をめざすこと、持続可能で質の高い暮らしと仕事を総合的に地域全体で実現しようとするもの)など新たな市場、仕事創造を研究、金融機関による事業性評価、事業再生を研究など】

(3)懇談会や地域勉強会の計画・開催にご協力ください
 引き続き、県や市町村行政の方と交流する中で、地域振興に向けた連携を図っていきたいと考えています。地域勉強会は下記のような切り口で年3回以上の開催をお願いします。

@市町村を横断する懇談の場
 地域勉強会という枠組みの中で、県行政や当会が媒介になり、市町村との交流ができる場づくりの検討をお願いします。そこでの懇談、交流を通じて、市町村における「中小企業振興を目的とした条例」策定に向けた支援、促進を図ってください。

A地域金融機関との懇談の場
 地域づくりの観点から、ぜひ行政の方とも同じテーブルで地域金融機関との意見交換を行いたいと考えます。経産省や金融庁の「ベンチマーク」の活用と地域金融機関・中小企業の実状と今後の課題等を交流する場づくりを要望します。

B他団体との懇談の場
 「千葉県中小企業の振興に関する条例」では中小企業家のみならず、幅広い県民、地域諸団体の役割を明確に位置づけています。広く情報発信を行い、条例に対する認識を広めてください。また、経済諸団体、教育機関等が意見交換を行っていく上での行政の力添えを期待します。

(4)地域内の産業、および中小企業の現状と課題把握する取り組み
@データの分析と活用
 千葉県の産業連関分析や域際収支の分析・活用を通じて、千葉県や各地域の特徴を踏まえた産業政策、地域振興策、中小企業振興策の立案を期待します。かつ市町村ごとの上記政策立案への助言・協力をお願いします。また地域で事業活動を行う経営者が知っておくべき市町村の融資、助成金などの制度、あるいは振興条例の有無と概要、中小企業振興等についての特徴を一覧にしたものを作成し、広く普及してください。

A省エネ・創エネ、農産物のブランド化・農商工連携に関する支援
 エネルギーの多様なあり方を推進し、中小企業の仕事にもつながる千葉県づくりを進めてください。中小企業の省エネ・創エネなど環境に対する自主的な取り組みの促進と評価をお願いします。農産物のブランド化・農商工連携に向けて行政として取り組まれています。当会を含め経済団体に対して、教訓となる事例や助成金等の情報発信を日常的にお願いします。
【例:地域金融機関と当会との懇談の場で、金融機関より省エネ・創エネや農産物のブランド化などを県が積極的に進めてもらえると資金需要の喚起となり有り難いとの声がありました】
【事例:当会会員、鰍竄ワす(諏訪商店)の農商工連携の取り組み。*参考資料:朝日新聞記事】

●国政の動きに関連して
1.中小企業の税負担、貢献度合いについて実態調査と広報をお願いします
 現在、税制論議の中で、中小企業が応分な負担をしていないとの論調が見受けられ、国では外形標準課税の適用拡大が俎上にのっています。適用拡大が中小企業まで広がれば、中小企業において雇用の拡大を困難にし、賃金引き上げの抑制につながります。当会としても公平な税制のあり方を追求しておりますが、千葉県としても中小企業の税負担と貢献度合いについての実態調査と広報をお願いします。
【参考資料:中同協発行リーフレット「公平な税制をめざして」】

2.最低賃金の改定は、中小企業への実態を踏まえて検討するよう国へ要請してください
 2016年度の最低賃金の改定で、25円引き上げられ千葉県では842円となりました。県民の賃金の上昇は、内需を拡大し、経済を活性化させる意味では歓迎すべきことと考えます。しかしながら、引き上げにあたり、地域の中小企業の実態がどの程度勘案されているのかについては疑問が残ります。受注単価の下落、利潤の減少等に苦しんでいる中小企業は少なくありません。そうした苦しい中でも中小企業は、障害者や高齢者、パートなどの雇用を支えています。こうした実情を考慮せずに引き上げを進めていけば、結果として地域の雇用維持が困難になる恐れがあります。こうしたことから、中小企業の実態を考慮した上で改定を実施するよう国へ要請してください。