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◆(株)イシド 代表取締役 沼田紀代美氏(鎌ケ谷白井支部会員)
本社所在地:白井市堀込 HP:http://www.soroban.co.jp/
事業内容:そろばん教育事業(直営教室「石戸珠算学園」の運営、加盟教室への教育ノウハウの提供、「インターネットそろばん学校」の開発・販売、珠算教師資格コースの運営、新規開校支援)
◆(株)オカムラホーム 会長 岡村大作氏(八千代支部会員)
本社所在地:八千代市大和田新田 HP:http://www.okamura-home.co.jp/
事業内容:不動産流通、分譲住宅、注文住宅、リノベーション、不動産仲介、海外、店舗運営、コンサルティング
◆(株)やます 代表取締役 諏訪寿一氏(市原支部会員)
本社所在地:市原市国分寺台中央 HP:http://www.yamasu.com/
事業内容:千葉のおみやげ品を中心に製造・流通・店舗運営(“房の駅”9店舗展開)

□司会:川西洋史氏(千葉同友会・専務理事)


川西:明けましておめでとうございます。
 本日は新年を迎える中、厳しい経営環境のもとにあっても様々な創意工夫や新たな取り組みで注目されている会員企業の経営者の方にお集まりいただきましたので宜しくお願いいたします。それでは、初めに各社の属する業界の現状についてお話し願います。

 

各業界の変化
【量販重視と高付加価値重視の二極化】
岡村:不動産建築業界では、少子化により空き家が増え、住宅着工戸数が20年前と比べて半減していますが、高齢化の影響は今の段階ではむしろ追い風で、我々団塊世代が相続対策や老後のために毎月家賃収入のある収益物件を求める動きや老人介護関連の建物の着工が増えています。特に東京は収益物件が増えることで地価が高騰状態にあり、千葉は少しだけ恩恵を受けています。大手住宅メーカーが占めているシェアは3割ほどで中小の工務店も頑張っています。大量生産・大量販売型市場と少数の高付加価値型の市場の二極化が鮮明になっていますが、業界全体として、後者の建物を建てていく傾向にあり、競争が激化しつつあります。この4〜5年は、人手不足が著しく、外国人労働者を雇用する企業も増えており、不動産賃貸業では、ネットを構築しない業者は淘汰されてしまう厳しい時代になっています。
諏訪:食品加工業は、いわし、鮭、いか等の海産物の収穫量が減り、原価が2倍〜3倍になっています。落花生の原価は5年前の2.5倍となり、国産の農産物や海産物の生産量が減ることで、価格がぐんと上昇しています。価格転嫁をするには、企業が努力して付加価値をつけていかなければ出来ない時代になりました。最近では、消費者ニーズにも変化があり、「高くても美味しいものを食べたい」というニーズと「安ければいい」のニーズに二極化しているように感じます。
 また、食品関連では法改正による対応の迅速さも求められます。栄養成分表示、アレルギー表示、原産国表示等です。HACCAP(*注)の取得にも先手を打って対応しています。広域流通に耐えられない企業は退場しろと言われているような法改正が待ったなしでやってきますね。
(*ハサップ−食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の 危害をあらかじめ分析[Hazard Analysis]し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという 重要管理点[Critical Control Point]を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生 管理の手法)
沼田:教育業界では、全国的に学習塾の経営が非常に厳しい状況です。2014年、大手予備校が相次いで閉鎖をしましたね。原因として少子化や浪人生が少なくなったことなどが挙げられます。そろばん塾で言えば、先生の平均年齢は70歳代で、昭和60年から比べるとそろばん塾の数は2分の1。30名以上の生徒がいる塾は6分の1に減り、以前は習い事や塾の決め手は「近くにある」でしたが「遠くても自分の目的に合った良いところに通おう」が一般的になっています。学習塾もいかに他との差別化を打ち出して、更に信頼とファンを作っていくかが求められます。
 近年は、ゆとり教育の反動で“読み書き計算”の重要性が再確認されたり、脳科学でそろばんが幼児期に良い影響を与えることが証明されたり。また、6ポケット(※子供1人に対して、両親・両祖父母の合計6人の財布があること)で1人当たりの教育費は年々上昇しているといった追い風もあります。

めまぐるしい時代の変化に対する各社の対応策
川西:業界の環境変化の状況を話されましたが、各社の対応策についてお話しください。
【自社のポリシーを鮮明に】
沼田:品質をどれだけ上げるかに尽きますね。品質というのは、わが社では先生です。企業理念、教育理念を社内にどこまで浸透させられるか。生徒1人1人の対応が違いますので、マニュアルではなく、「何を大事にしていくのか」「何のためにそろばんを教えているのか」が重要です。“私たちが提供するのはそろばんだけじゃないよ”と言ってもなかなか伝わりません。そこで今年、保護者向けにブランドブックを作り、「遅刻は許しません」「忘れ物をしてきても貸しません」「厳しく指導します」等、しつけを含めた教育方針が載っています。このことは実は働く先生のポリシーを明確にするためという目的でもあります。

【農業の活性化も視野に】
諏訪:農業生産法人に参入し、農園で生産も行いますが、地元農家の支援にも積極的に取り組んでいます。県特産落花生の生産量が生産者の高齢化や中国等の輸入品増加に伴い、20年間で半減しています。そこで、千葉県や金融機関とタッグを組んで“落花生増産プロジェクト”をスタートしました。当社で保有する製造・流通・販売網を活かし、適正相場による買取保証、生産に必要な収穫機等の作業機械の貸与、品質向上へのアドバイスなどが主な支援です。
 また世界への輸出も視野に、世界基準の農業認証「GLOBALG.A.P.」の取得支援にも力を入れています。東南アジアへの輸出販路を拡大していくとともに、今年夏にはアメリカ・ニューヨークに“房の駅”を出店します。千葉県は観光消費額第二位で大きなマーケットで実力があるのですが、イメージランキングでは高くないといったギャップがあります。千葉県のブランド力向上という使命を持ってブランドの逆輸入を狙って進出します。昨年、創業168年の老舗・小川屋味噌店を自社のグループ会社に迎えました。日本の食文化には欠かせない醤油のできるもととなった金山寺味噌をつくっています。醸造をしっかり学んで、メーカー機能も販路も強めていきたいと思います。
【部門を越えた住宅コンペを実施】
岡村:経済情勢に翻弄される業界ですので、安定顧客がいないと厳しいですね。地主さん回りは創業からずっとやってきて今の基盤になっています。また、付加価値高い建物にシフトしていこうという方針を社員に分かってもらうことは結構大変でした。 そこで社内で事務も営業も部署を越えたグループ分けをして住宅コンペを実施し、不特定多数が気に入る家ではなくとも、少数のこだわりを持った人が気に入る家をめざしています。設計士・経営者もグループの一員になり、どんな家を作ってもいい、何をやってもいいといったルールで、何度も打合せをし、一斉に住宅を建て始めて、ユーザーから評価してもらうのです。「家の中に橋がある家」なんていうアイデアもあって非常に評判となりました。一般的に、不動産会社はいい加減な建物を作るだろうといったイメージがあり、イメージチェンジを狙い、注文住宅専門店「木ここち」というブランドを立ち上げ、動き始めました。

環境変化に対する社員との関わり
川西:環境変化への対応について社員さんとの関わりはいかがですか?

【マネジメント力の難しさ】
諏訪:楽しく仕事してくれていると感じるものの、ここ2年位で人事評価制度を導入し、個人で行動計画を立てて、上司がそれを認証する仕組みを作ったところ、ついてこれない社員も出て退職につながった例も残念ながらあります。原因を探ると、上司が一生懸命向き合ったけどダメだった場合と上司が向き合うことを諦めてしまった場合があります。上司の寄り添い方やマネジメント力が重要なんだと痛感しています。
沼田:かつては終身雇用でという考えが普通でしたが、現代では人件費を少しでも上げ続けるには、効率を求めざるを得ず、年功序列が崩れていくような気がしています。企業として、年功序列でチームワークの良い会社にするのか、優秀な人が活躍できる会社にしていくのか、どちらを選ぶのかを問われているようで悩みどころです。

【適材適所の配置・短時間制度の導入】
岡村:マネジメントの出来る人とそれが不得意な人がどうしてもいますね。わが社では一人一人の能力が発揮できる適材適所に配置換えを行いました。全てがうまくいったとは言い切れませんが、社員が力を発揮してくれていると感じています。
諏訪:沼田さんの所は、「短時間社員」制度を取り入れているそうですが、その内容について聞かせてください。
沼田:うちは85%が女性社員ですので、扶養控除130万円の壁があり、またやりがいのある仕事もしたいけど家族も大事で正社員は難しいという人もいます。週30時間で、1日5時間の授業を週5日間。決められた時間以外は残りの5時間は裁量性を導入したフレキシブルな形にしています。昇給・賞与もあり、主婦以外にも独身女性もこの制度を使っています。給与もさることながらライフスタイルを大事にしたい若い方が男女を問わず増えており、“十人十色ワーク”といった呼称で介護や育児と仕事の両立を図るため、正社員・短時間社員・パート社員のどれかを選んで仕事を出来るようにしています。これでいつでも離婚できますなんて声も聞かれたりします(笑)

変えてはいけないものと変えていくべきこと
川西:長時間労働の是正、仕事と生活の両立や女性の活かし方など、難しい問題ですね。ところで、このような激しい変化の時代にあって、自社にとって変えていかなければならないことと、変えてはいけないことがあると思います。各社ではどうですか。
諏訪:千葉の美味しいものを提供するという理念は変えてはいけない。しかし、商品も制度も美味しいの水準もどんどん高めていきたいと考えています。
沼田:変えてはいけないものは経営理念と愛情ですね。生徒さんが大人になった時に土台となる部分を育てていくのが私たちの仕事です。厳しさと愛情をもって、指導にあたっていくことは今後も変えません。変えていかなければならないのは、やはり社内制度や組織づくりですね。

【非効率の効率】
岡村:変えてはいけないものは、顧客を忘れないことです。“非効率の効率”だと社員には話していますが、お客様と一見無駄話と思えるようなことをして、信頼関係をゆっくり築いて、その後仕事につながっていきます。未来をいかにリアルに予想して、時代に合わせて変わっていくことも同時に考えていかなければなりません。ですから、わが社では分譲住宅から注文住宅にシフトをしています。

激動の時代を立ち向かう経営者仲間へのメッセージ
川西:あっという間に時間が迫ってまいりました。話は尽きないのですが、最後に、「立派な企業の話を聞いても自分のような企業では条件が厳しくて難しい」と思われる方も少なくないと思います。そういう方へのメッセージをお聞かせください。
沼田:世の中には、そろばんは不要といった風潮もありますが、自社ではそろばんを幼児教育や能力開発に価値転換できたことが大きく道を拓けたきっかけになりました。ニーズを掘り起こして、視点を変えて価値転換していくところに道を見いだせるのではないでしょうか。時代が変わっても、これまで続いてきたものにはきっと価値・存在理由があると思います。
諏訪:とにかく何をするにも時間がかかりますね。ローマは1日にしてならず。ぽっとやって、ぽっと成功するっていうビジネスは崩れやすいです。真似できそうでできないのって、それまで築いてきたベースがあるかないかのような気がしています。
岡村:ユーザーの困りごとに真摯に向き合って、不効率であっても解決していくことが大事だと思います。わが社もお客様の信頼を得るのに15年かかりました。儲かる話には飛びついてしまいたくなりがちですが、お客様から「ここにアパートを建てたい」と相談された場合、家賃収入の継続性・入居率を考え、難しい場合は率直にお話をするようにし、それが信用となって入居率95%以上につながっています。お客様を守ることは自社を守ることにつながります。実直に積み重ね、10年間地道にブランディングに力を入れていくことでやっと良い会社じゃないのって知れ渡ってきたと思います。
川西:ある経営者が、「商売は困った探し、人材は良いとこ探し」と言っていました。自社の価値の転換は、決して企業規模の大小ではなく、    経営者の考え方、構え次第であることが確認できたと思います。“非効率の効率”なんて言葉も味わい深いですね。今後の課題として、社員のマネジメント力について深めていきたいということで本日は閉めたいと思います。長時間、ありがとうございました。

(文責・事務局 高橋)


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