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第23期経営指針成文化セミナー
「地域への役立ち、やりがいの好循環をつくる!」

鎌ヶ谷観光バス求@専務取締役 徳永昌子氏(鎌ケ谷白井支部

 物語は中古車販売から始まった
 我が社は昭和51年の10月に、鎌ケ谷市で中古車の販売を始めました。もともと私が嫁いだのは鉄工所です。オイルショックの時、舅に「家族みんなで同じ仕事をしていたら駄目になる」と言われ、鉄工所の敷地の一部で始めたのが中古車の販売でした。
 初めは、「売りたい」という一心で、ローンのブラックリストに載っている人に車を売ってしまうという失敗もありました。そのうち中古車販売は、下取りで利益をとらないと商売できないことに気がつき、新しく考えたのが人手の要らないレンタカーです。
 鉄工所の技術でマイクロバスの内装をサロンにした「サロンカー」を作り、お客様へ貸し出しました。
 これは好評でしたが、マイクロバスのため、一般の方は運転がしづらい。徐々に「運転手をつけてほしい」という要望が強まり、今度はバスの営業許可をとることにしました。

達成感と苦労と…同友会へ入会
 当時貸切りバスは台数の規制があり、参入することはとても大変でした。自分たちで勉強しながら書類を作り、資金がこれだけあると示す、いわゆる「見せ金」のためにお金も貯めました。5回目の申請でようやく営業ナンバーを取得できました。経験豊富なドライバーを採用し、車両も購入し、借入金も増えました。当然のようにお客も増えると思いましたが、一向に増えない。少しずつ焦りが生まれてきました。同友会を紹介されて入会し、経営指針成文化セミナーを受講したのもこの頃です。

一人一人の社員と向き合う
 不安で疲れていた私が、経営指針成文化セミナーの中で、「借金をなんとか返す方法を知りたい。クレームをなくすために社員を教育したい」と言うと、「徳永さんはお客さんのほうに目が向いているけれど社員のほうに目が行っていない」ときっぱり言われました。「自分はこれだけ頑張っているのに…」と、ものすごくショッキングでした。
 しかし、受講していく中で、「社員のことを考えていなかった」と素直に思うことが増えました。
 たとえば、ドライバーが「給料パチンコで全部すっちゃったよ」という発言をすると、「こちらは苦労して支給しているのに」と、カチンときて腹を立てていました。渡された給与の範囲でやりくりしているわけで、本人にとっては、日々の楽しみです。そうしたことを理解できずに、目の前の借金のことばかり考えていました。
 また、あるドライバーが居眠り運転をするらしいと聞きました。彼は子供が生まれたばかりなので、ピンときて「寝室を子供と一緒にしていない?部屋を別にしてください」と言いました。さらに、その人の生活に合わせて観光バスではなく、企業送迎のバスが向いているのではと提案しました。
 小さな会社ですから、安全を守るためには、ひとり一人の社員の生活まで考えてあげなければ。社員と向き合わなければ駄目なのだ、と思うようになりました。

もったいない!ウチがやります
 そんな中、我が社は乗り合いバス事業に参入します。
 それまで、鎌ケ谷市には2社が運営するコミュニティバスがありました。一人100円の運賃で、年間2万人の乗車。収入は200万円しかなく、市が3000万円の補助金を出していました。
 これが2時間に1本という運行状況で、いわゆる「あてにされないバス」なのです。市が3000万円補助金を出して、この状況はもったいないと、運行廃止論まで出てきました。私は「自社ならもっと安く、本数も多くできます」とかけあい、既存のバス会社の契約が切れるまで6年待ちました。
 7年目にしてようやく、参入することとなったのです。自社で提案したプランは10人乗りのワゴン車で、8時30分〜18時30分までの定期運行。運賃は100円。 市役所や病院に行く人、買い物をして帰路につく人などを考慮した時間設定です。もし他社が断るなら全て自社でやるつもりでしたが、2社の賛同を得て共にやることになりました。
 すると6年間2万人しか乗っていなかったバスの利用者が4万人になり、現在は7・5万人にもなったのです。高齢化が進む地域の中で役に立てることがわが社にとっても大きな喜びとなりました。

ニュータウンの大問題を知って
 月刊千葉ニュータウンを発行している武藤弘さん(北総支部会員)から新たな相談を受けました。運賃の高い北総線に代わるバスを運行できないかというのです。
 現在、北総線は千葉ニュータウンから新鎌ヶ谷の4駅で運賃が570円。ニュータウンができた当初に入居した人の多くが高齢化になる中、定期券が会社負担で支給されていたときは気にならなかった運賃が、病院へ行く、買い物へ行くという日々の生活の中で、一気に負担になっているというのです。
 また近年は、高い交通費を会社負担してくれないケースもあるそうです。そうなると、若者は移転せざるを得ず、ニュータウンはゴーストタウンになってしまう。 北総線の高額運賃と、そこから発生している問題を私は初めて知りました。
 実際に駅で運行実験をしてみると、6時30分〜7時30分までホームには人がぎっしりいるのです。実は、この地域にはビジネスモールがあり住宅街があり、ショッピングモールがある。都内から来る人と都内へ行く人で、行きも帰りも人がいるのです。私の見立てでは、採算ベースで朝夕400人乗ってくれればいい。これはなんとかいけそうだと思い、2014年6月に地域の市民とともに「生活バスちばにう」の運行をスタートさせました。

乗車する人からの「ありがとう」
 「ちばにう」の運賃は現金で300円、回数券は1割引なので270円。北総線の570円の半額以下です。
 最初は観光バスの運転手の力も借りました。彼らには「路線バスはダイヤ通りの運行をしないと怒られることが多く、それが嫌で観光バスの運転手になったのに…」と言われてしまいました。
 ところがこの路線バスでは、お金を払っているお客様から「ありがとう」と言われることが非常に多いのです。困っている人の役に立てる、地域社会に貢献できる。お客様の喜びを自分の喜びにできる。やりがいがうまれる。そんな循環を感じました。1年目で8万人、今年は9万人が乗車。なんとかやっていける、と思っています。

人が輝ける工夫と土壌づくり
 現在当社は、車両が15台でドライバー19名。ドライバーが高齢化する中で、あと10年したら会社はどうなるのかと、自社の立ち位置も考えます。
 50〜60代のドライバーでも、比較的やりやすいのが短時間の乗り合いバス運転です。3時間〜4時間なら集中力が維持しやすいためです。年齢に合った配置を工夫し、健康でやる気のある人は75歳までできるという会社にしています。 昨年社長を息子に交代しました。40年続いた会社をこれからも力を合わせて守っていきたいです。 (2016年6月18日、第23期経営指針成文化セミナーでの報告より)    

    (文責・事務局 小山)

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