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第42回千葉県経営研究集会(2016年5月19日)
「経営の原点・『人を生かす経営』を考えよう!」

報告者:中同協幹事長・千葉同友会相談役理事 広浜泰久氏
(潟qロハマ代表取締役会長)
創業:1951年/資本金:6,250万円/社員数:130名(パート含む)
事業内容:18L缶、ペール缶等缶用パーツ製造・販売)       

 同友会には平成2年に入会しました。5年目には代表理事となり14年ほど務めました。現在、中同協(中小企業家同友会全国協議会)の幹事長をしております。その間、例会、人を生かす経営(労使見解)、経営指針、社員教育、共同求人などに取り組み、今では共同求人で採用した社員が全体の7割を超えるまでになりました。

「ちゃんとした会社」にしよう
 同友会で学んだ1つは、経営者の姿勢。『ちゃんとした会社』にしようということです。大学卒業後3年間缶メーカーでの修行を経て入社すると、労使関係が悪くて驚きました。そして組合も強く、始業前にやる気のある組合員が機械に油を入れようとすると、周りの組合員が「お前は会社の犬か」と言うように、社員である前に組合員という状況でした。会社は会社で、組合との交渉では数字・業績の話は一切せず、常に「儲かっていません」という話しかしないので、しょっちゅうぶつかり、ストライキが起きていました。ある時、違法なストライキが起きて本当は解雇できるはずがこじれて大きな労働争議になりました。私も含めた経営陣で「このままではダメだ。『ちゃんとした会社』にしていこうよ」と話して少しずつ取り組んできました。
 ここで、見聞きしている『ちゃんとしていない』会社の例を挙げてみます。@経営者が毎日遅刻してくる。A公私混同が激しい。Bトップ同士や幹部社員との人間関係が悪い。C役割分担が明確になっていないので、会長と社長のどちらに話を持っていけばいいのかわからない。うまく行かないところにはこうした理由があるので、押さえておきたいと思います。

労使見解を読んで活用
 入会してしばらくして、『人を生かす経営(労使見解)』に出会いました。読んだ瞬間に「もっと早くに読んでいたら、あの労働争議は絶対に起きなかった」と確信をもちました。書かれている内容は大きく2つ、@経営者の責任。どんなに環境が厳しくても会社を維持・発展させなくてはいけない。それは一緒に働く社員たちの生涯設計に対して責任があるんだということです。A甘やかすことではない『真の人間尊重の経営』をしていこうということ。一人ひとりの力を一番良い形で発揮してもらおう。そういう経営をしていこうということが書かれています。
 読むコツが2つあって、@「労働者は・・・」というところは、自社の社員、辞めていった社員の顔を思い浮かべながら読む。社員一人ひとりと社長との間に何らかのやり取り、ドラマがあったはずです。Aこうあるべきということが書いてあります。1フレーズごとに自社ではこういうことに取り組んでいると語れないといけません。分かっているということと、やっているということは違います。そういう形で読んで行くことが重要です。

『人を生かす経営』に取り組む
 11月に千葉で『人を生かす経営』全国交流会が行われますが、これは共同求人、社員教育、経営労働、障害者問題の委員会メンバーが中心となっての交流会です。同友会では、人を育てるのではなく、人が育つ環境を作ろうと言っています。人が育つ環境とはどういうことか。自主・民主・連帯の精神に則った形で、育つ仕組みをつくっていこうということです。
  自社では、社員との関わりで3つのことを大切にしています。@「志を立てる」。自分でこうなりたいという志を立てて、それに向けて努力する。志を持てるようにと職能資格制度を取り入れています。A「自分で成長していける環境をつくる」。通信教育の受講を呼びかけ、全社員の半数近くが何らかの通信教育を受けています。B「力量発揮」。成長した人の能力に合わせて一番ふさわしい仕事を与えていくにも、毎年一人ひとりと面接して、希望も聞きながら、こういう課題に取り組んでいこうとすり合わせを行っています。
自主・民主・連帯の精神で取り組む上で、最終的な到達点として一人ひとりが持っている素晴らしさを一番良い形で発揮していくことが、『人を生かす経営』の真髄だと考えています。

道徳的な言葉でごまかすな!
 『人間尊重経営』を取り組むには条件があります。社会性、人間性、科学性の部分です。
 科学性の部分を考えてみると、ある程度効率の良い仕事をして、しっかり利益を出しているという形にしていかないといけません。また、しっかりと内部留保もあり、資金も調達できる形にしないと、お客さんの要望に応えたいけどできないという形になってしまいます。社会貢献をしていく社会性、人間尊重の人間性、そして科学性、それぞれがバランスよくレベルアップしていかないといけません。
 市川浦安支部では「道徳的な言葉でごまかすな!」と教わりました。具体的には、@数字でモノを言うクセ。当時、納期遅れが多く、どのくらいかを社員に聞いてもそれぞれ違いました。ある時調べたら、月に300件。数が分かれば、これを何件にしようと目標が立ち、それに向けて前進していけます。15年経ち、今では年間1件あるかないかになりました。A損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー、それに関連する色々な分析数値について、すべての意味が分かっていると同時に、それを良い数字にするためにどういうことをしなければいけないのかも分かっている。さらに、そのことを一人ひとりの社員の課題として、具体的にこういうことだとかみ砕いて話ができないといけないということ。

膨大な機会損失を逃さない
 普通に仕事をしていてレベルアップするかというと、絶対にしません。思いがあっても膨大な機会損失をしていると思います。どんなことがあるか、@どういう方法でお客さんに応えていくんだという明確な事業目的がない。A方向性は定まっているが、それに対してどういう課題があるのか抽出されていない。B課題が抽出されているが、課題を誰がいつまでにやるのかという役割分担とスケジューリングがされていない。Cうまくいかない時に、それをこうしていこうとフォローする、いわゆるPDCAがされていない。この膨大な機会損失は、すべて宝の山です。これを何とかするのに一番良い手立てが、経営指針に基づく経営、すなわち、『良い会社』を目指すことです。

経営指針で『良い会社』づくり
 経営指針は、@何のために経営しているのかという経営理念をつくろう。Aその経営理念を実現するための戦略を含む経営方針をつくろう。Bその方針を実現するための経営計画を作り、それに基づいて経営していこうというものです。
 経営指針に基づく経営は全国各地で取り組んでいますが、必ずしもうまく行っているところばかりではありません。@まずは労使関係。これが悪いと、経営指針をつくった途端に幹部社員が何人も辞めたという話はいくらでも聞く話です。また、社員の反応が「私たちをもっと働かせるために作ったんでしょう」というのもよくあるケース。A経営指針には、すべての課題が織り込まれているべき。よく「経営指針みたいな綺麗ごとばかりやっていたら会社はつぶれるよ」という話をする人がいます。本当に綺麗ごとしか書いていない。やっていることと書いていることが全然違うのでは意味がありません。B一人ひとりがPDCAを回せることが理想的です。これには全国的なデータがありまして、「経営指針をつくり、その後どういうことをやっていますか」という景況調査の設問で、「少なくとも毎月到達点を確認している」という会社の業績が明らかに良いんです。PDCAを回すことが大切だということです。
 また、経営指針を社長ひとり、または一部の幹部社員を巻き込んで作るというのが多いんですが、その下の立場からすると「しょせんは上司がつくった計画」。どこまで行ってもやらされ感は消えません。できれば、部門長がその部門に責任ある計画を立てる。その下の係のものは、そのテリトリーについて計画する。そして、それらに対してPDCAを回していくことが理想だと思います。

月次決算から始めよう
 経営指針に基づく経営に取り組むにあたり、月次決算をすることが出発点にしてほしいと思います。損益計算書等の数字だけでなく、やろうとしていることがここまで進んでいるという進捗状況を毎月月次決算で確認するということです。色々と話を聞いたところ、中堅企業も含め、数字の月次決算をやっている企業は2〜3割あると思います。ところが、方針・計画の進捗状態までを含めると1割ぐらいだと思います。さらに締日から1週間以内に会議を行っているところは1%もないと思います。さらに週ごとの課題まで設定してPDCAを回している会社は1000社に1社という印象です。
 これはやればできることです。やっているところは、他の会社との差別化ができていると感じているので、ぜひ経営指針に基づく経営に取り組むならば、少なくとも月次決算を始めたということをスタートにしてほしいと思います。月次決算を毎月やると、そう簡単にやめられません。継続していくと会社は必ず良くなります。これも企業変革支援プログラムの全国データに表れています。

最後に
 「同友会の3つの目的」「自主・民主・連帯の精神」、「国民や地域と共に歩む中小企業」、この3つの同友会理念を切り口として、それぞれの切り口が交わるところを見てみると、実践における自社の課題を捉えることができます。11月の人を生かす経営全国交流会に向けて、実践に取り組んでほしいと思います。 

     (文責・事務局 逸見)

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